お久しぶりです。ヒロマスです。
一年半ぶりのブログ投稿ですが、一応生きてます。
ブログ投稿が疎かになった大きな原因は働き出したからなのですが、
コーヒーの焙煎所で働いてから、気がつけば2年が過ぎ、3年目に突入していました。
忘れないうちに、焙煎所で働きながら日々感じる事を書き殴っていきます。
焙煎所ってどんな雰囲気なの?
と、ご興味のある方(いるのか…?)のご参考になれば幸いです。

従業員数は10名ちょっとで、
毎月1000kgぐらい焙煎している小規模ロースターでの話です
一日の焙煎の流れ
やった事無い人はあまり想像できないと思うので、
焙煎の流れを簡単に説明します。
お店によって扱う機器、生豆の状態や、焙煎時間など様々なので…
半熱風式の焙煎機(MAX10kg焼き)を使用している、うちの場合です。
その日の気温や焙煎する豆のローストによって異なるのですが、
コーヒーの生豆を焙煎機に投入してから煎り止め(焼き上がり)までにかかる時間は、
1回あたりだいたい20〜25分ぐらいかかります。
そこから火を止め、焼き上がった豆と焙煎機を一定の温度まで冷まし、
再度着火し、目安の温度まで上がれば生豆を投入、また焙煎開始…
という作業を繰り返します。
釜を冷ましてから着火し、投入までにかかる時間は15分程かかります。
- 焙煎時間…20〜25分
- 釜を冷ましたり温める時間…15分
この焙煎工程1回を「1バッチ」と呼んだりします。
1バッチあたり合計40分ぐらいの時間がかかる事になります。
豆の種類を変えて複数バッチをこなす流れです。
一日の焙煎回数は、その日の注文量に応じて変わります。
5バッチしか焼かない日もあれば、12バッチぐらい焼く日もあります。
- 6バッチの日…6×40分 = 4時間ぐらい
- 8バッチの日…8×40分 = 5時間半ぐらい
- 10バッチの日…10×40分 = 6時間半ぐらい
だいたいこれぐらいの計算になります。
焙煎の前後に暖気運転や掃除の2時間ぐらいがプラスされるので、
一日の勤務時間は7〜10時間ぐらい、という感じです。
焙煎量が多い日は、早朝に出勤して焙煎します。
最近は1日2人体制で交代しながら焙煎し、お昼休憩を取る形に変えました。
季節によって環境が大きく変わる


真冬は釜温度がすぐに下がってしまうので、
せわしなく焙煎が続く事になります。
(早朝は寒すぎて焙煎機で暖をとる事も…)
反対に真夏は焙煎室が40℃近くまで上がり、熱中症との戦いになります。
夏場はアイスコーヒーを焙煎しますが、深煎りが多いため、
それだけ釜温度も上がりやすい&煎り止め後も冷めにくいという状況に陥りがちだと思います。
一応焙煎室にエアコンはついているのですが、焙煎室自体は全然冷えません。
冷房MAX状態で、直接体に冷気を浴びながらなんとか焙煎するっていう感じです。
コーヒーの需要も季節によって変化するので、
例年涼しくなってくる秋頃から注文が増えて忙しくなります。
値下げのキャンペーン期間等は、さらに忙しくなります。
割と体力勝負


焙煎だけでなく、事務や販売接客、発送作業や生豆搬入、ハンドピックなど…
どれも基本立ち仕事な為、体力的に結構しんどいです。
今までデスクワークしか経験してこなかった身ならなおさら。
特に生豆の搬入は、麻袋(ドンゴロスっていいます)を運ぶんですが、
これが軽いもので30kg、重たいものは70kg近くにもなり、おもいっきり力仕事になります。
月1ペースですが、焙煎機の分解清掃もします。
1ヶ月で割と凄い量のチャフやタールで汚れます。
サイクロンや煙突を掃除すると体中煤まみれになります。
寒風が吹き荒れる中、屋根に登って煙突掃除したりとかします。




…という、結構厳しい環境なので、肩腰だけでなく膝までおかしくなりました。
(これは年齢によるものではないと思いたい)
毎晩ストレッチが欠かせません。
最近はPC作業の割合が増えたので、肉体的な疲労はずいぶんマシになりました。
自分のペースで集中出来る


「ちょっとスモーキー過ぎたな」とか「どうやったら渋味が抜けるかな」とか、
自己満足の世界なんですが、毎回焙煎の度に考えて追求出来る奥深さがあったりします。
で、思ってた通りにいかないっていうのの繰り返し。
1分おきに温度のデータをとりながら、
豆の色や大きさ、香りの変化を確認し…ハゼの音を聞き…
と、五感をフルに使って焙煎機を操作するので、かなり集中した時間が続きます。
なので体感として焙煎中は時間が過ぎるスピードが早いです。
それだけ夢中になれているんだと思います。
ある程度決まったプロファイルがあり、「お店の味」の範囲内に収めないといけませんが、
そこさえ守っていれば誰からも指図されず、
自由な感じで進められるのが焙煎の良い所だなー、と思ってます。
自分の心持ち次第で職人の域まで突き詰められるし、
やる気が無ければ単なる作業として終える事も可能…っていう感じ。
でも自分のペースというよりかは、
焙煎機が冷めたり温まったりのタイミングで動かないといけないので、
どちらかというと焙煎機のペースに振り回されているのが現実かもしれません。
ちなみに最初の1年は「ミスは絶対許されない」というプレッシャーから、
焙煎を楽しむ余地はありませんでした。
最悪出荷停止となり、1バッチ分丸々廃棄になる事もあったので…
体が覚えてきた最近は、そういったプレッシャーはだいぶ減りました。
コーヒーの摂取量が爆上がりする


焙煎所で働く人の宿命なのかもしれませんが、
一日あたりのコーヒー摂取量が爆上がりしました。
最初の1年は毎日これぐらい飲んでました↓
- 朝自宅でハンドドリップしたコーヒーを飲んで出勤
(150cc程) - 毎回焙煎後にエアロプレスで試飲
(10回焼く日は50cc×10回) - 昼休憩に前日焙煎の豆を試飲
(4〜5種類を1口ずつ) - 試飲の残りをタンブラーに入れ、飲みながら帰る
(150cc程) - 夕食後にまたハンドドリップ
(150cc程)
合計1リットルを超えてます。
毎日スタバでの最大サイズ(ベンティ590ml)を2杯近く飲んでいるという計算に…
カフェインよりも疲労が勝っているのか、
それでも普通に毎晩ぐっすり眠れる生活を送っていました。
流石に体に悪い気がしたので、
最近は半分以下まで摂取量を減らすようにしてます…
味の違いが分かってくる
毎日飲みまくっているお陰で、
以前までは何を飲んでも美味しいと思っていた僕でも、
それなりに味の違いが分かるようになってきた…気がします。
同じ生豆でも、
その日の気温や湿度、投入する豆の量に応じて焼き方(プロファイル)を変えます。
同じ煎り度合いの豆でも、一般的には焙煎時間によって味の傾向に違いが出ます。
焙煎時間が短い場合
- 味や香りが強くなる
- 豆の個性を引き出しやすい(特徴のある風味)
- 濁った味になりやすい
- 豆の組織が脆い(油がにじみやすく、香りが抜けやすい)
焙煎時間が長い場合
- クリアな味わい(甘味を出しやすい)
- 豆が綺麗な状態を保ちやすい(長期保管しやすい)
- 味や香りが弱い(パンチがなくマイルド)
- 豆の個性を引き出しにくい(特徴が弱い)
他にも水抜き(ドライングフェーズ)をどれぐらい取るかとか、色々あります。
お店によってこだわりが違うと思いますが、
うちの場合は、他のお店よりも焙煎時間は長め(豆ヅラ重視)なのかな…と思ったりします。
風が強い日は煙突から排気が引っ張られるのか、風味が抜け気味になったりします。
焙煎機の清掃直後は、プロファイルが乱れて焙煎が難しくなります。
焙煎の仕方だけでなく、生豆自体の変化(クロップやスクリーンサイズなど)でも味は大きく変わります。
焙煎機の種類(直火式とか半熱風とか)によっても変わりますね。
挽き目や湯温、淹れ方によっても味は当然変わります。
飲む人の好みや気分、体調によっても変わってくる気がします。
何が言いたいかというと、
最終的に口にするコーヒーになるまでに味に影響する要素が多すぎるので…
どのコーヒーが美味しいのか?というと、
永遠に正解は見えてこない仕事でもあるんだろうな、と思ったりもします。
他のコーヒーが飲めなくなる
一定レベルのコーヒー(小規模のロースター屋さんとか)じゃないと、
飲めない体になってしまいました。
あんまり言いたくないけど、コンビニとか缶コーヒーとか、
大手コーヒーチェーン店とか、そのあたりは飲まなくなりました。
これは割と焙煎士あるあるなんじゃないかな…と思ったりします。
理由は単にまずい、というだけではなく…
恐らくカビ豆だらけの安い豆をそのまま大量に焼いただけのコーヒーだから、です。
ちゃんとした焙煎所では、焙煎前に必ず生豆をハンドピックして、欠点豆を取り除いているはずです。
産地や保管状態によって変わりますが、
仕入れた時点でカビ豆が100%無い生豆って、ほぼ無いと思うんです。
多分スペシャリティーコーヒーでも1%ぐらいは混入してるんじゃないでしょうか。
でもぶっちゃけ、焙煎して粉に挽いちゃえばカビ豆の混入はバレないんですよね。
大量に焙煎してコストを下げている大手は、だいたいそうしてるやろ…と想像できます。
なので飲みません。
このコーヒーカビ毒議論は色々ありそうなんですが…
リスクを減らす意味でも、
ちゃんとハンドピックしているお店のコーヒーを選んで欲しいな、と思います。


コーヒーうんちくが増える
他人のうんちくを聞かされるのは、正直うざいかもしれませんが…
コーヒー業界に携わると、自然とコーヒーに関する知識が身につきます。
色々とうんちくが増えると同時に、こだわりも増えてきます。
そういうのが楽しかったり、やり甲斐に繋がったりします。
でも一番やり甲斐を感じる時は、
自分が焼いたコーヒーを単純に「美味しい」と言ってくれるお客さんと話す時ですね。
小難しい話は抜きで。
なので別にうんちくは要らないとも思います。
PC環境が壊滅的
コーヒーの焙煎所に限らず、ローカル店舗あるあるかもしれませんが、
PC環境が酷い有り様でした。
ほぼ手書き&手打ち文化。
女性の割合が多い職場なのですが、
その中でも「うち、パソコンの事はよくわからへんねんおばちゃん」の割合が9割でした。
そんな状態だったのでなるべくコストをかけずに、
色々と基幹システム的なものを僕一人で構築するに至りました。
- 日々の受注管理や分析ツール
- 焙煎量の自働計算や生豆等の在庫管理ツール
- 焙煎プロファイルのPC記録化、気候に応じた分析ツール
- 勤怠管理など社内ポータル的なもの
- ホームページのWordPress移行
などなど…
結構凄い事をやってるはずなんですが、
残念ながらその凄さを理解してくれる人もおらず、
まあ自分のペースでのびのび作れるから良いかー、という感じで環境を整えてます。
(お陰で在宅勤務を増やせた)
そこそこPCを使える人は重宝されるんじゃないでしょうか。
ただ承認欲求が強すぎる人には辛いと思います。
これからシステムの中身を周りにどう教えていこうか…というのが今後の課題です。


焙煎量の計算が楽しい
コーヒーって焙煎すると、チャフや水分が飛んでいくので、元の生豆の重量よりも軽くなるんです。
(歩留まりって呼んでます)
歩留まりはローストによって異なり、だいたい75%〜90%ぐらいまで幅があります。
これも季節や生豆の元々の水分量によってブレがでます。
例えば、歩留まり80%ぐらいになるコーヒー
500gを8パック、合計4kgの注文があった場合、
80%に減るから、生豆は5kg用意して焙煎する必要があるな…という計算になります。
あとは焙煎機のサイズに合わせた最適な焙煎量があると思うので、
なるべくその最適な焙煎量に合わせたキロ数×複数回という感じで、
毎日注文量に応じて焙煎量を自働計算する仕組みを作りました。
これがパズル感覚で楽しかったです。
うちの場合、焙煎した豆はその日中に売り切るよう、ちょうどの量しか焙煎しません。
なるべく焙煎したてのコーヒーをお届けする為にそうしてます。
最適な飲み頃はお店によって色々と意見が分かれそうなのですが、
コーヒーの味って、焙煎してからどれぐらい日が経っているかがめっちゃ大事だったりします。
なので賞味期限だけでなく、焙煎日が明記されているお店のコーヒーを選ぶ基準にして欲しいな、と思います。
大手のコーヒーはいつ焙煎されたか分からないものばかりです。
で、賞味期限は製造から1年で設定してる所も多いです。
(記載が「加工日」だけのコーヒーも信用できません)


儲からない
生豆や包材などの原料価格が高騰している中での薄利多売、というか少売なんですよね。
客単価が安すぎますし、喫茶店などの大口の店舗注文では全然利益が出ないような価格設定なので…
生産者搾取の構図やフェアトレードなどが叫ばれてますが、
最終工程である焙煎所もかなり厳しい業界だと思います。
世の中のロースターは全て儲からない、というわけではありません。
商売上手というか、儲けることに重きを置いているお店は儲かってると思います。
うちの場合はなんとか細々と続いてる、っていう感じです。
だから個人経営でコーヒー屋さんを開業するっていうのは…どうかな…と思います。
趣味の延長とか副業でなら良いんですが、それ1本だけだとなかなか食べていけないでしょうし、
消費者の目には届かない泥臭い仕事も多いので、
真っ当な仕事をする程、続けていくのは大変だろうな、と思います。
辛くも楽しくもある
どんな仕事でもそうですが、辛い事もあれば楽しい事もあります。
辛いのは先述した夏場の過酷な環境や体力的な面、儲からない構造などです。
あとは年間休日数ですね。
GWや祝日は関係無いですし、お盆や年末年始の休暇日もかなり少ないです。
イベントに出展したりとかで土日が潰れる事も多々あります。
(飲食店ならどこもこんな感じだと思います)
ただ自分のペースで自由に出来る事も割と多いので、
ある意味気楽に過ごせています。
やる事をやっていたら誰からも文句を言われないので、
前職のような人間関係に悩んだり、余計なストレスを感じる事もありません。
今のところ仕事に飽きる事もなく、なんとか続いています。
焙煎所の仕事が向いている人


今回は焙煎所で勤務しながら感じた事をとりとめもなく書き殴ってみましたが、
振り返ると、本当にあっという間の2年間でした。
最後に僕が勝手に考える、焙煎の仕事が向いてると思う人物像を挙げて終わります。
コーヒー焙煎の仕事が向いてると思う人
- コーヒーを美味しく飲める人 (どれだけ飲んでも)
- ちゃんと味を言語化して伝えられる人
- データをとって分析しながら改善できる人
- 探究心が尽きない人 (答えが無いと分かっていても)
- 暑さに耐えられる体力と根性のある人 (一番大事かも)
- 地味な作業も黙々とこなせる人
- 食品を取り扱う自覚を持って、誠実な対応ができる人
僕自身が上記全てに当てはまるかというと…
自信無いです…
全部はあてはまらなくても、ざっくりで言うと、
コミュニケーションは得意じゃないけど、コツコツ真面目系の人が向いてるんじゃないでしょうか。
僕の職場では「コーヒーの香りが好きやねん」という理由だけで働いている人も居ます。
焙煎所で働く理由は、別に何でも良いのかもしれません。
いつまで続けられるかは正直わかりませんが、
(焙煎所の経営状況的にも、自分のモチベーション的にも)
自分のペースを見失わずに真面目にやっていれば、まだ当分は続くだろうな…と考えています。
まだまだ未熟な部分は多いですが、
自分なりのペースで焙煎を楽しみながら研鑽していく所存でございます。
よろしくどうぞ。



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